サードプレイスを持とう
”サードプレイス”を知っていますか?「知っている」「すでに持っている」という人もいれば、「何それ?何のこと??」という人もいるかもしれませんね。 サードプレイスとは、直訳すると「第三の場所」。アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが、著書『The Great Good Place(邦題:サードプレイス)』で提唱した概念です。簡単に言うと「家庭や職場での役割から解放され、一個人としてくつろげる場」、それがサードプレイスです。
ファーストプレイス(第一の場所) 自宅
食事や睡眠、入浴などといった基本的な生活を行う場所
セカンドプレイス(第二の場所) 職場・学校
仕事をしたり、学びを得たりする場所
サードプレイス(第三の場所) 居心地のよい場所
家庭や学校、職場と離れた、自分が“居心地が良い”と感じる場所
近年の急速なリモートワーク普及や業務オンライン化に伴い、オンとオフの切り替えに難しさを感じている人もいるでしょう。そこで今、仕事や家族の一員としての責任や利害関係によるプレッシャー、ストレスから解放され自分がリラックスして過ごせる場所=サードプレイスが注目を集めています。
サードプレイスとは
オルデンバーグは、サードプレイスの特徴に次の8つを挙げています。
- 出入り自由な、心地よくくつろげる中立の場所。
- 地位や立場に関係なく、平等に過ごせる。
- 気軽に会話が楽しめる。
- いつでも気軽に立ち寄れる。
- 常連が新参者を受け入れる雰囲気がある。
- 派手ではなく、気負わずに行ける場所。
- 緊張がなく、遊び場的な雰囲気がある。
- ぬくもりのある、第二の家になりうる場所。
イギリスのパブやフランスのカフェ、アメリカの居酒屋や古典的なコーヒーハウスなどがサードプレイスの一例です。そして近年ではサードプレイスの概念も広がり、スポーツジムや雑貨屋、書店といったリアルな場所に留まらず、オンライン上のコミュニティも「バーチャルサードプレイス」として認知されるようになりました。
サードプレイスを見つけよう!
「交流型」サードプレイスの見つけ方
「人との交流を持つことでリフレッシュしたい」なら、趣味のサークルや地域のコミュニティ活動などに参加してみることをお勧めします。
- 好きなアーティストの集まりに参加する。
- 習い事を始めたり、スポーツジムに入会したりする。
- 行きつけのお店を作り、常連になる。
- 興味のある分野の勉強を始め、仲間と繋がる。 など
「マイプレイス型」サードプレイスの見つけ方
「疲れていて、今は人と交流する意欲が湧かない」という人は、まずは一人で気ままに過ごし、リフレッシュすることができる“マイプレイス型サードプレイス”を見つけることをお勧めします。
- のんびり過ごせるお気に入りのカフェを見つける。
- 図書館でゆったり過ごす。
- サウナで整う。
- ドライブやツーリングなど趣味の時間を大切にする。 など
マイプレイス型サードプレイスと交流型サードプレイスは、明確に線引きすることが難しいこともあります。また、マイプレイス型がいつの間にか交流型へと変化することもあるでしょう。大切なのは、自分が「様々な役割から解放されて、一人の人間としてくつろげる場所や時間」を持つことです。
先日「サードプレイスを持つ人は、“自己理解度”が高く、“働くモチベーション”が高い傾向に」という調査結果が発表されました。 参考:マイナビHPより
サードプレイスでホッとくつろぐことにより心身の柔軟性が戻り、自分のことを振り返る余裕が生まれるのかもしれません。 慌ただしい毎日だからこそ、自分がくつろげ、自分らしくいられる心地よい場所を持っておきたいものですね。
参考文献 『サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』 レイ・オルデンバーグ(2013) みすず書房 『サードプレイス概念の拡張の検討―サービス供給主体としてのサードプレイスの可能性と課題―』 石山 恒貴 日本労働研究雑誌No. 732 (2021)