リフレーミング
心理療法で使う技法のひとつに、「リフレーミング」があります。リフレーミングは、物事の枠組み(フレーム)を捉え直すこと。つまりは、今までの考えとは違った視点からアプローチしたり、焦点をずらしたり、解釈を変えたりして、意図的に自分や相手の受け止め方・生き方を変化させる技法です。
「失敗」も違う視点から見ると「成功」?
発明王エジソンはこう言いました。
Because not failure, but the way showed that it doesn't work, that's success.
「それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ」
「失敗」も違う視点から見ると「成功」と捉えることができるように、人は視点を変えたり解釈を変えたりすることで、受け止め方や生き方をポジティブに変化させることができる力を持っているのです。
リフレーミングしてみよう!
リフレーミングには、大きく分けて「意味のリフレーミング」と「状況のリフレーミング」の2つがあります。
「意味」 のリフレーミング
物事の意義を多角的に考え、プラスに転換する。
「これには他にどのような意味があるだろうか?」「どんなプラスの側面があるだろうか?」と、問題と捉えていることの意味の枠組みを捉え直します。 例えば…
「失敗したら周囲にどう思われるか怖い」のは、「視野が広く他者視点で物事を捉えることができる」
とも言えそうです。そう捉え直してみると、思い切ってチャレンジする力が湧いてくるかもしれません。
- 例:初めての業務で負担が大きい ⇒ 新しいスキルが身につくチャンス
- 例:いつも嫌味ばかり言うひとがいる ⇒ 新しい目の付け所を知ることができる
- 例:怒りっぽい ⇒ 感情豊かで人間味がある
- 例:飽きっぽい ⇒ 好奇心旺盛
- 例:心配性 ⇒ 神経が細かく慎重
「状況」のリフレーミング
物事や人を違う状況に置くことで、プラスに転換する。
問題と捉えていること(人の行動や事象の内容)が、「他のどんな状況であれば役に立つか?」と考え、枠組みを捉え直します。
- 例:口数が少なく、雑談がはずまない同僚 ⇒ 内密の話をするには適任
- 例:いつもベラベラ喋ってうるさい人 ⇒ 宴会の司会を任せたら盛り上がりそう
「対人関係の悩み」にもリフレーミングが有効
意味と状況をプラスで捉えてみると、相手に抱く感情にも変化が生じます。
例:怒りっぽいパートナー
- 意味のリフレーミング ⇒ 感情豊か・情熱的
- 状況のリフレーミング ⇒ クレームを言わないといけない場面で頼りになりそうだな。
例:重箱の隅をつつく上司
- 意味のリフレーミング ⇒ 几帳面
- 状況のリフレーミング ⇒ 書類のダブルチェックを依頼するなら適任だな。
日本発祥の心理療法である森田療法では、不安は「よりよく生きたい」という欲求(生の欲望)の裏返しと捉えます。これもある意味リフレーミングですね。
またストレス対処能力「前向き度(SOC)」の構成要素に「有意味感(何らかの意味を見いだせる感覚)」がありますが、これを高めるにあたってもリフレーミングは有効です。
自分らしく生きていくコツの一つは、リフレーミング上手になることかもしれませんね。