太陽の効果
冬になると日照時間が極端に短くなる北欧では、以前から冬季になると意欲が低下したり過食・過眠になったりする「季節性感情障害(SAD)」が問題になっています。
日本でも「冬うつ」という言葉があるように日照時間が減少する秋~冬にかけて症状が出現し、春先になると軽減する方がいらっしゃいます。
「明らかな心理的ストレスがないのに、秋~冬にかけて毎年調子が悪くなるな」という方は、SADの可能性があるかもしれませんし、そうでなくとも多くの人が季節による心身の変化を感じています。
日光足りていますか?
近年では季節を問わず日焼け止めや日傘を利用する人が増えていますし、新型コロナウイルスの流行によりおうち時間が増え、知らず知らずのうちに日光不足に陥っている人も少なくありません。
- 最近気分が晴れない
- イライラしやすい
- 睡眠の調子が良くない
…それは太陽光不足が原因かもしれません。
「太陽光の力」で健康度アップ!
太陽光といえば、クリーンエネルギーの代名詞のひとつ。電気は私たちの生活には欠かせませんが、太陽が持つパワーはそれだけではありません。私たちが健やかに生きていくためにも、太陽の光は必要不可欠なのです。
ビタミンDの生成
太陽光に含まれる紫外線には、皮膚でビタミンDを生成する働きがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて骨や歯を強くしたり、免疫機能を調整・維持したりするなど、とても重要な働きを担っています。最近の研究ではインフルエンザの予防効果や花粉症の症状緩和効果、ビタミンD不足による心疾患や認知症、メタボ等のリスク上昇が指摘されています。
体内時計をリセット
人間の体内時計のリズムは1日のリズム(24時間)より少し長いため、毎日リセットしなければなりません。この役目を担っているのが起床時の太陽なのです。太陽の光を浴びることで睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップします。
セロトニンの分泌
さらに、太陽の光を浴びると「幸せホルモン」の一つでもあるセロトニンが分泌されます。セロトニンは感情を整え心の安定を保ち、不足するとイライラや疲労、意欲低下、気分の落ち込みといった症状がみられます。
季節にあった日光浴を
過度の紫外線は皮膚がん等のリスクを高めますが、適切な日光浴は心身の健康維持に必要不可欠です。
紫外線量の多い夏期は10分程度、紫外線量が減少する冬季は30分程度の日光浴がお勧めです。窓ガラス越しではビタミンDが生成されにくくなるため、日差しが強くなりすぎる前に窓を開けて日光浴をしたり、午前中にウォーキングするなどが効果的。その際は、腕や足など日焼け止めを塗っていない皮膚が日光に当たるようにしましょう。
「どうしても日焼けしたくない!」という人には、メラニン色素の少ない手のひらに日光を浴びる「手のひら日光浴」がお勧めです。
私の日光との付き合い方は…
- 寝室のカーテンを開けたまま就寝し、朝は日光を感じながら起床する。
体内時計リセットの場合の太陽光は、ガラス越しでもOK。防犯面で問題のない方や、冬場の冷気が気にならない方にはお勧めです。 - 在宅勤務時のゴミ出しは、日光浴を意識して少し遠回りする。
身体活動量も増えて一石二鳥です。
国立環境研究所 地球環境研究センターのサイトには、ビタミンD生成のために必要な日光浴の目安時間がわかるページがあります。関心のある方は、覗いてみてくださいね。