ツボを押してセルフケア
みなさんは、西洋医学と東洋医学の違いをご存知ですか?
西洋医学は投薬や手術により体の悪い部分に直接アプローチする治療法です。一方東洋医学は体の不調を内側から治す治療法で、漢方や鍼灸、あん摩がその代表です。東洋医学では病気一歩手前の「未病」の状態を改善することより、病気を予防すること重視しています。
東洋医学では、人の体には経絡という「生命エネルギー」の通り道があると考えます。経絡の流れがスムーズだと、体のバランスが保たれ健康でいられます。しかし、その流れが滞ると体のバランスが崩れて、不調を起こしたり病気になったりするのです。
そしてこの経絡上にあるのが、みなさんご存知の「ツボ」。ツボによる治療法は2000年以上も昔の古代中国で生まれましたが、その効果は今やWHO(世界保健機構)も認めるもの。
ツボは経絡に並んでいる皮膚上のポイントで、臓器とつながっているため、臓器が不調になればそれと関連するツボも押すと痛かったり硬かったりします。東洋医学ではこの関係を利用して、ツボを刺激して心身不調を改善するのです。
こころに効くツボ
不安やストレス症状といった“こころに効く”ツボはいくつかありますが、今回は仕事中でも手軽に押せるツボを3つご紹介します。
- ツボの押し方:
- ツボの位置には個人差があります。押してみて痛みをや気持ちよさを感じた場所を目安にするとよいでしょう。
- ツボは指のはらでゆっくり押します。強さは「気持ちいい(痛気持ちいい、でもOK)」程度で。押し過ぎには注意しましょう。3~5秒押してからゆっくり離し、また押す、を3~5回ほど繰り返しましょう。
内関(ないかん)
気持ちをリラックスさせ、不安感やイライラなどに効果があります。プレゼンの前で緊張している時や、不安を感じている時などに簡単にセルフケアできるツボです。 普段から軽く揉み押すようにしておくと、気分の安定につながります。
神門(じんもん)
イライラを解消、緊張をほぐし、気分をリラックスさせます。ストレス解消、精神安定、不眠、便秘にも有効です。親指で3~5秒の指圧と1~2秒の休みを3~5回ほど繰り返すと、 気分の落ち込みやストレスからくる胸苦しさがやわらぎます。
合谷(ごうこく)
風邪のひきはじめや目、鼻、歯の痛みなど首から上の症状に効果的。他にも肩こり、ストレスなどにも効果がある万能のツボです。頭重感や眼精疲労にも効果があるので、モニターの見過ぎで疲れた目のケアにも活用できます。
気軽にツボを押してみよう!
マインドフルネスにもGOOD!
ツボを押している時に“痛み”や“気持ちよさ”、“自分の指が身体を押す感じ”といった身体感覚に意識を向ければ、立派なマインドフルネスにもなります。
スージングタッチでさらにGOOD!
コロナ禍でソーシャルディスタンスが叫ばれる中、注目されているセルフケアの一つに「スージングタッチ」があります。
親しい人と触れ合った時など、安心や心地よさを感じた時には“幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌されますが、自分で自分の体を“いたわる”ように優しく触れても、オキシトシンが分泌されるのです。 スージングタッチで触れる場所は、自分がしっくりくるところならどこでもOK。
胸元やおなかに手の平を当てたり、腕を撫でたり、自分をハグしたり… 体の表面にはたくさんのツボがあるので、丁寧にスージングタッチをすれば同時にツボ刺激にもなるかもしれませんね。
私は腰痛持ちで、酷い時は同僚の鍼灸師さんに診てもらうのですが、そこで「ストレスに効くよ」と教えてもらったのが“胸の前で手をクロスする”方法。この時、内関と外関(腕の外側にあるツボ)が重なるように意識するのがポイントです。
すると、内関と外関だけでなく、胸の中心にある“膻中”という気持ちを落ち着けるツボも同時に刺激することができるのだとか。