MMS > 心身一如 > TOPICSから > 気持ちを書き出してみよう(#008)

TOPICS

気持ちを書き出してみよう

「なんだか気持ちがスッキリしない…」「不安で頭がいっぱい…」「ものすごく悲しい気分…」そんな時、みなさんはどうしていますか? カラオケで思いっきり歌う、とにかく体を動かす、ひたすら寝る…人によって対処法は様々でしょう。


考えよう

おすすめは、“紙に書く”

カウンセリングでは、カウンセラーとクライアントさん(相談者)が主に“対話”によって気持ちをじっくり見つめたり整理したりするのですが、カウンセリングとカウンセリングの間(次回予約までの間)に、日記や記録を書くように勧めることがあります。

心理療法の種類によってはフォーマットがあるものもありますが、私がよくお勧めするのは、「用紙やフォームは何でも良いので、思ったこと、感じたことを包み隠さずバーッと書く」方法。カウンセリングで吐き出すのと同じように、「自分の中にある感情をいったん外に出す」というものです。

エクスプレッシブ・ライティング(Expressive Writing:筆記開示)という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。筆記開示は「自分が今思っていること、感じていることを包み隠さずただ書き出す」もの。1日20分程度、最低でも4日間ほど続けて行うと効果的だと言われています。とにかく、頭の中の考えや感情を、ポジティブもネガティブもひっくるめて、誤字脱字も気にしないでバーッと書き出すのです。

筆記開示はうつや不安を軽減し、幸福感を高めることが実証研究で明らかになっています。私がクライアントさんに勧めているのは、この筆記開示に近いかもしれません。



考えよう

なぜ書くことで、モヤモヤが解消されるの?

モヤモヤの正体

ネガティブな感情であればあるほど、私たちはそれをなかったことにしたり(否認)、そんな感情を抱いてしまった自分を責めたり(自責)、相手に猛烈な怒りを感じたり(他責)します。そしてカウンセリングでお会いするクライアントの多くは、自身の中に沸き起こった感情を自分の意志でコントロールしようと格闘するも、思うようにコントロールできず疲弊したり、ネガティブ感情が増幅したりしているようです。

感情を意志でコントロールすることは容易ではありません。そして感情は、その存在を認めてもらえなかったり軽視されそうになると、まるで幼い駄々っ子のように暴れ出し、なんとか認めてもらおうと自己主張し始めるのです。これが心身の不調や対人関係の問題として現れるのですね。

反対に、存在をちゃんと認めてもらえると安心して、いたずらに増幅したり暴れたりしなくなります。

ありのままの感情を受け入れよう

「包み隠さず書く」方法はこの感情の存在を認める作業であり、誰に気兼ねするでもなく実施可能です。また書き進むにしたがって、自分でも思いもよらなかった感情に気付いたりもします。

「ああ、私はとても腹が立っていると思っていたけれど、その根っこには受け入れてもらえなかった悲しみがあったんだな」とか、「さっきまではすごく不安だったけど、書き出してみたらそれほど大したことじゃないって思えたし、いざとなったら助けてくれる人もいるわ」というように、俯瞰の視点(メタ認知=自分を客観視する能力)が育まれるのです。


考えよう

やってみよう!

紙に手書きでもよし、スマホやPCに入力してもよし。

ポイントは、1~2行で終わるのではなく、思考や感情、気持ちを吐き出しきること。そのためには時間をある程度確保すると良いでしょう。ちなみに筆記開示では20分程度を推奨しているようですが、8分程度で効果があったという研究結果もあります。

書き出したものは 読み返してもいいし、読み返さなくてもOK。

「一気に書いたら紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱にポイッ!」もいいですね。


カウンセラー

ちなみに私も、気持ちがスッキリしない時に実践しています(私は手書き派です)。書いたものは読み返したりしないのですが、先日部屋を片付けていたら数年前に書き出した紙が出てきました。読み返してみて、「4年たっても、同じようなこと考えてるんだな」「でも立ち直りが早くなったな」等、自分の成長を感じました。



→ もっとTOPICSをみる

ページのトップへ戻る